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亀田興起戦への苦情から考える、ガイドブックの変化 2
Posted at 06/08/03 PermaLink» Comment(0)» Trackback(0)»
1990年以前に海外に旅行ガイドブックを持って旅行をされた方ならわかると思うんですが、当時のガイドブックって、今と比べるとびっくりするぐらいにいい加減なんです(笑)。結構古い情報が平気で載っていたり、思いっきり私感で書いてあったり。日本のものに限らず、世界的に有名なLonely Planetですらそうです。当時の編集者やライターの方に文句を言っているわけではなく、今より全然情報が入りにくかったという事情yもあります。でもって、旅行者のほうも現地情報は常に変化しているからガイドブックの情報が間違っていても仕方ないという情報リテラシーがあったんだと思います。
ところが、格安旅行パックや格安航空券の普及で、誰もが海外に旅行へ行くような時代になると(それが悪いということでは一切ありません)、読者層も多様になりました。読者のほんの一部でしょうが、ガイドブックに書かれていることはすべてが正しく、不変であると疑わず、バス運賃が値上がりしたりすると、ガイドブックに書いてある値段と違うからきっとボッタクリだ、と思ったりするような人も出てきます。
ガイドブックの編集方針は、当然といえば当然ですが、そういう読者向けに慎重にならざるを得ません。これまでは、お便りが届いたらそのままガイドブック上で紹介していたような読者からの投稿情報も、そのまま紹介はせずにひとつひとつ裏づけ調査を徹底するように変化します。つまり読者投稿として情報が届いたら、取材者がその情報を現地にて確かめて吟味してから紹介する、という段取りです。
真っ当なジャーナリズム論からいえば、至極当然のことなんですが、インターネットでの昨今の情報価値を考慮すれば、時代に逆行したことなんですよね。このガイドブックの以前からのファンの方にとっても、です。
つまり一部の新たなユーザーの意見(苦情)を取り入れたために、CGM(クチコミ情報)を扱いにくくしてしまったのです(なんだか小難しくなってしまいましたが、現在ネットで一番信頼されている「一般ユーザーの素の意見(クチコミ)」を紹介しにくくし、眉唾気味になりつつある「メディアを通しての意見」に変換させてしまったのです)。
一方で、取材者が投稿情報を確かめてから紹介するというのは、言うはやさしく、行なうは厳しいのです。何しろ、情報を投稿してくれた多数の旅行者が、延べ日数で何ヶ月、何年にもなるであろう滞在期間に訪れたあらゆる場所を、数人の取材者が短期間のうちに確認して回らなくてはならないのです。さらに、通常取材してから本になるまで最低でも1ヵ月程度(そんな短いことはまずないですが)かかるのですが、取材後に届いた投稿情報は、いくら最新だといえど紹介が難しくなってしまいました。ガイドブックによっては、取材は2年に1度というものもありますので、その取材後に届いた情報が日の目を見るのは、2年後のこととなってしまう訳です(その後、ネットに最新情報を載せられるようになりましたが)。
投稿情報を紹介することの手間が増えたのですが、それによって取材人員が増やされたという訳でもないので、当然のように投稿情報の紹介数がグーんと減ってしまったという結果になる訳です。
また、海外旅行ガイドブックは1年から2年毎に改訂をするのですが、前から載っている投稿情報についての再調査もしなくてはならなくなり、毎回取材に行けないような僻(へき)地の情報は、せっかく貴重な情報であれども、再調査ができないために削除する、なんてことも起きてしまう訳なんです。 投稿者の旅行時期も書いてある訳ですから、古くても貴重な情報はそのままの日付で掲載していればいいと思うのですが、毎回改訂の際はくまなく取材していますという見栄もありますから(実情はどうあれ)、古いままにはしないんです。
じゃあどうするか。すべて捨ててしまっているのか、といいますと、実際はそうではなく、以前は読者投稿だったものを、ガイドブックの取材記事として取り込んだりすることもあるんです。「○○は●●らしいので~」みたいな書き方なんかで。読者からの苦情と、毎回全編改訂していますという見栄のために、読者の生の情報は確実に減ってしまったというお話でした。まあ、その分、インターネットで旅行者の生の情報が聞ける(読める)ようになってきましたからよかったですが。
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